この題で書こうと思ったのは、けやき坂46から改名した日向坂46のメンバー4人がファッション誌の専属モデルに決まったニュースを見たからである。
本題に入る前に、この題を見た坂道グループのファンが筆者がハロプロを応援しているから、その妬みで書いた記事だろと思われる可能性があるので断っておくが、筆者は「乃木坂って、どこ?」をすべて視聴しているし、「乃木坂工事中」等の番組もチェックしているので、まったくの坂道グループアンチというわけではないが、少しこの専属モデル戦略はやりすぎになってはいないかという意見を提示したいのである。
坂道グループとファッション誌の専属モデル
坂道グループのメンバーが、ファッション誌で専属モデルになる先駆けのメンバーは、白石麻衣で2012年に「LARME」にレギュラーモデル、2013年に「Ray」の専属モデルである。そこから2年たって、2015年に齋藤飛鳥が「CUTiE」を経て「sweet」の専属モデル、松村沙友里と橋本奈々未が「CanCam」の専属モデル、西野七瀬が「non-no」の専属モデルになっていき、そこからの専属モデルラッシュは多くの人が知っていると思われるので省略する。筆者は、白石麻衣、齋藤飛鳥、松村沙友里、橋本奈々未、西野七瀬までの専属モデルになる流れは、乃木坂46をブランディングする上でかなり有効な手段であったことは認めている。実際に白石麻衣は、女性向けの化粧品のCMに出演するなど、それまで築いてきた本人を含めたグループのブランディングが成功した成果といえる。しかし、その後の専属モデル戦略はやりすぎであり、今後のグループに大きな弊害を生む可能性を指摘したい。
ファッション誌の読者
一旦坂道グループの話題は置いといて、女性ファッション誌の読者について考えてみたいと思う。当たり前の話だが、女性ファッション誌を購入するのは圧倒的に多いのは女性だ。この女性読者のなかには、女性アイドルが好きな人も嫌いな人もいる。ここで問題にしたいのは、女性アイドルが嫌いな女性読者である。最近は確かに女性の女性アイドル好きは増えたが、まだまだ一定数嫌いな人は多い。こういった人は自分の購入するファッション誌にアイドルが登場するだけで嫌悪感を抱き、購読をやめてしまうことがある。もちろん現在坂道グループは絶好調で、メンバーを起用したファッション誌を熱心なファンが買い支えているから大丈夫だという意見もあるが、正直アイドルの人気は水物でいつ人気がなくなるのかは分からないうえに、基本的にファンが買い支えるにしても誌面での扱いが悪いと購読をやめてしまう可能性もあり、非常に危ういといえるのではないだろうか。実際、齋藤飛鳥が専属モデルを務めた「CUTiE」や北野日奈子が専属モデルを務めた「Zipper」は休刊している。この二誌は、かなり個性的なファッションを好む女性が読者であったため、安易にアイドルを専属モデルに起用したのを嫌がって読者が離れた可能性がある。もちろん紙媒体のファッション雑誌が全体的に不振で、その流れで休刊してしまったと考えるのが普通で、筆者の考えが少数であることは認める。
ファッションモデルの容姿
ファッションモデルは、着ている服をきれいに見せることが要求されるため、美人で背が高くスタイルの良いといった容姿が求められる。日本のファッション雑誌ではどれくらいの身長が求められるかは正確には分からないが、筆者の肌感覚上、身長165cm以上あるモデルが多い気がするし、読者もそういったモデルを求めているのではないだろうか。それを踏まえたうえで坂道グループの専属モデルを考えていきたい。以下の表は坂道グループのモデルをまとめてみたものである。
所属 | 身長(cm) | ファッション誌 | 期間 | |
白石麻衣 | 乃木坂46 | 162 | LARME(レギュラー) Ray | 2012.9~2018.5 2013.3~2018.3 |
齋藤飛鳥 | 乃木坂46 | 158 | CUTiE(休刊) Sweet | 2015.2~2015.8 2015.10~ |
西野七瀬 | 乃木坂46(卒業) | 159 | non-no | 2015.2~ |
橋本奈々未 | 乃木坂46(引退) | 163 | CanCam | 2015.3~2017.2 |
松村沙友里 | 乃木坂46 | 164 | CanCam | 2015.3~ |
川後陽菜 | 乃木坂46(卒業) | 161 | Popteen | 2015.9~2018.11 |
北野日奈子 | 乃木坂46 | 158 | Zipper(休刊) | 2015.12~2017.11 |
衛藤美彩 | 乃木坂46 | 163 | 美人百花(レギュラー) | 2017.5~ |
堀未央奈 | 乃木坂46 | 160 | ar(レギュラー) | 2017.5~ |
久保史緒里 | 乃木坂46 | 159 | Seventeen | 2017.8~ |
桜井玲香 | 乃木坂46 | 155 | NYLON JAPAN(レギュラー) | 2018.8~ |
樋口日奈 | 乃木坂46 | 159 | JJ | 2018.4~ |
山下美月 | 乃木坂46 | 159 | CanCam | 2018.8~ |
渡邉理佐 | 欅坂46 | 166 | non-no | 2017.4~ |
渡辺梨加 | 欅坂46 | 166 | LARME(レギュラー) Ray | 2017.7~ 2017.11~ |
今泉唯 | 欅坂46(卒業) | 153 | ar(レギュラー) | 2018.12~ |
土生瑞穂 | 欅坂46 | 171 | JJ | 2018.5~ |
小林由依 | 欅坂46 | 162 | with | 2018.7~ |
小坂菜緒 | 日向坂46 | 161 | Seventeen | 2018.6~ |
加藤史帆 | 日向坂46 | 154 | CanCam | 2019.2~ |
佐々木久美 | 日向坂46 | 167 | Ray | 2019.2~ |
佐々木美玲 | 日向坂46 | 164 | non-no | 2019.2~ |
高本彩花 | 日向坂46 | 162 | JJ | 2019.2~ |
この表をみるとわかるが、坂道グループはこれまで25人ものモデルを輩出してきた。しかし、筆者が先ほど述べたモデルに求める身長165cm以上のメンバーは、4人しかいない。もちろんすべての雑誌が、モデルに高身長を求めているとは言わないが、東京ガールズコレクションなどのファッションイベントに出演したときに共演するモデルと並んだ時に、やはり身長が低いメンバーは見栄えが悪くみられる恐れがある。実際に西野七瀬が、non-noモデルと並んだ際の集合写真では、スタイルの悪さが際立つ結果となってしまった。
ここで少し話題を変えるが、一般的にファッションモデルは女性の憧れの対象であるし、その分女性から厳しい視線で見られることが多い職業だ。もしモデルの中で、スタイルの悪いものがいれば、かなり厳しい悪口をネット上で言われる可能性があるし、多くの女性から嫌われる可能性だってある。ここで坂道グループの専属モデルの話に戻るが、正直身長の低いメンバーがモデルになっていることが多いので、世の女性からモデルとして認められず、厳しい評価をうけたり嫌われる恐れがある。実際モデル適正がすべての専属モデルのメンバーにあるとは思えないため、坂道グループが出版社にごり押ししたと世間に思われている。これ以上やると、坂道グループのブランドが棄損されることも考えられるので、メンバーをしっかり選ぶか、これ以上増やさないほうが良いと思われる。
ただ雑誌を売りたい出版社とメンバーに箔をつけたい坂道グループ運営は、両者ウィンウィンの関係であるため、この流れはしばらく止まらないし止められない可能性が高い。このまま行き過ぎたごり押しが続くと、グループ自体が世間から嫌われる可能性が高いと言わざるを得ない。
専属モデルの価値
坂道グループの専属モデル戦略は、初期の方は、アイドルが専属モデルになるという希少性があり、グループのブランディングに大きく貢献していた。しかしここまで専属モデルを坂道グループが占有化してしまうと、専属モデルになるアイドルという希少性を失うと同時に、専属モデル自体の価値も低下していくのではないだろうか。もちろん坂道グループは他のアイドルグループとは違うから大丈夫だと意見があるのも分かるが、世間は、坂道グループもすべて同じアイドルという枠組みのなかに入れられてしまい、他のアイドル同様、必要以上にその仕事の価値をディスカウントしてしまう。つまり坂道グループが専属モデルを占有化すればするほど、専属モデルの価値がディスカウントされてしまうというということだ。そして、近い将来ディスカウントされてしまった専属モデルを、ブランデングの一環として坂道グループのメンバーがなることに意味がなくなるのではないだろうか。
コンテンツとして
現在坂道グループは、飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を拡大させている。しかし、いつかは飽きられ衰退していくのは過去の人気アイドルグループを見るとわかる。ただ昨今の情報化社会は、コンテンツを消費するスピードはどんどん加速している。もちろんこれはアイドルだけではなくすべてのコンテンツに言えるが、あまりにも世間への露出が拡大してしまうと、その分消費され飽きられるのもはやいのだ。何が言いたいのかというと、坂道グループはあくまでもAKBグループの派生グループであるため、自然と帰結も同じになることは自明であり、そのため、AKBグループの絶頂期を考えると、今の坂道グループのことをよく見えやすい。坂道グループの専属モデルの占有化は、絶頂期のAKBグループの青年誌のグラビア表紙の占有化に似ている。あのときのAKBグループは、すべてのグラビアアイドルの仕事を奪っていき、露出を拡大し、消費され飽きられ衰退していった。ただ坂道グループが違うのは、AKBグループは自分たちの顧客となる可能性の高い男性向けの青年誌で露出を拡大していったが、坂道グループは顧客になる可能性の低い女性向けのファッション誌で露出を拡大し、反感を買うリスクを買っている点である。もちろん初期の方は、リスクに比べて得られる恩恵が大きかったが、占有化を進めるにつれ段々と反感を買い、グループ自体が女性から嫌われる可能性もある。実際そうなってきていることはネット上の反応を見ればわかる。そのため筆者は、坂道グループがAKBグループに比べて短いスパンで絶頂期を終えると予想している。
最後に
筆者は、坂道グループの専属モデルの占有化は、露出を拡大し、消費され、世間の反感を買い、AKBグループよりも早く絶頂期をおえてしまう可能性があるため、気をつけるべきだと述べてこの記事を終える。
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